「優秀」とはなにか、企業と学生の優秀の差異

インターン

多くの中小企業にとって新卒採用は積極的に行っているところも多く、ベンチャー企業などは社長自ら積極的に携わっている話を聞きます。私自信、数多くの学生と会ってきましたが、興味深いことに学生が持っている疑問や不安というのは何年たっても変わらないように思えます。

例えば、よく新卒から質問されることのひとつに「優秀さの定義ってなんですか?」というものがあります。様々な企業が欲しい人材として「優秀な学生」という言葉を使いがちで、それなのにその「優秀」の定義が企業によって異なってしまうため、学生にとっては戸惑ってしまうこともうなずけます。

これについては学生にとっての「優秀」と企業においての「優秀」は全く別物だということを私は考えています。

「優秀」という言葉の誤解

表彰

学生にとっての「優秀」というのは「勉強ができる人」と考えていいと思います。なぜなら学生社会において試験の成績によって点数や偏差値という数字に変換され優越がつけられるからです。

このことから学生にとっての「優秀」は「勉強ができること」「地頭が良いこと」と考えるのも当然です。しかし、ここで重要なワードが抜け落ちているように私は考えます。

それは「優秀」なのは「特定の環境において優れていること」です。学生であれば学力がものを言う世界であることに直結するため、学生にとっての「優秀」は「勉強ができること」でいいと思います。しかし、学生ではない場合(学力が優れているという場ではないところ)は「勉強ができること」とイコールにはなりまsん。

そうすると企業にとっての「優秀」はなにになるのか。いや、企業に限らず、コミュニティであったり、スポーツクラブであったりすると「優秀」と言われるための能力は大きく異なってきます。

もちろん頭が良くて困ることは現代において多くはないですが、少なくとも学生間でいわれる「優秀」は、社会においては全く別物であるという風にいえるでしょう。これは同じ企業であっても役職やもっと小さくいうと与えられた仕事に対してもそれはいえます。

まずは、「優秀」という言葉に「勉強ができること」が直接的にイコールではないということを認識すべきです。

環境に左右されない「優秀」

社会

逆にどのような環境においても一貫して通用する「優秀」はあるのではないでしょうか。少なくとも私が今まで出会った人のなかで「この人は優秀だな」と思わせてくれる人には共通項があります。

それは「凡用的な優秀さ」を持っていることです。この「凡用的」というのはいくつか要素があります。

ひとつは「周囲のパフォーマンスを引き出す力」です。これはマネージメントに向いているか向いていないかを判断するときに私が見るポイントです。チームやまたチームじゃなくても有象無象と集められた人のなかでリーダーシップを発揮し、全体をまとめ全員の見るべき方向を定めて導ける人です。

よく「優秀」を自分自身のスキルだけに狭めて考える人も多いですが、ひとつのスキルが高い人は大勢います。みんな何かしら得意不得意があり、その得意領域が飛び抜けた人もたしかに凄いと思いますが、私はそうではなく、そうした得意不得意がある多くの人をまとめあげパフォーマンスを引き上げることができる人はどこにいっても「優秀」だといわれます。

次に、「課題の指摘に留まらず解決方法を提示する力」です。これはよく学生のグループワークで見られる光景ですが、課題感や穴を見つけそれを指摘することが多い人がいます。たしかに仕事上で穴のない完璧な状態を目指すのが大切ではありますが、「じゃあどうするの」となったときにその解決策まで述べられる人は少ないように思います。
課題だけ指摘しても前に進むことができず、チームや周りの士気を下げることにも繋がるため、そのなかで解決方法を見つけ、前に進められる力を持っていることが重要だからです。

最後に「知的好奇心と継続的なインプットができる力」です。私が優秀だと思う人は何に対しても深いところまで物事を知っています。私がヨーロッパに行ったとき、ある会議で日本の電車に広告を出そう、という話になったときイギリス人の日本に住んだこともない広告マンが「中央線はリベラルだから駄目だ」と発言しました。なぜリベラルだから駄目なのかは今でも分からないのですが、それよりも日本に住んだことのないイギリス人から「中央線」という言葉が出てきたことに驚きました。そしてその人は日本だけでなく、フィリピンやオーストラリアなどどの土地に対しても知見を持っていたのです。

いま話したのは極端な例ですが、優秀な人はたとえ専門領域ではなくてもどんな話も深いところまで知っていますし、知らなくても次会うときには専門領域の人と引けを取らないほど深く知っています。これは何に対しても知的好奇心と継続的なインプットをし続けている結果だからです。

「優秀」とは結局なんなのか

頑張る

今回は新卒採用のときに聞かれる「優秀」についての話をしました。
「頭の良さ」は「地頭がいいこと」に結びつきやすいように先天的なものも多く占められていると思いますが、私が話したような「優秀な人の共通点」は後天的に獲得が可能だということです。

学生であれば「学力で優越が決まってしまうのはある程度仕方のないこと」ですが、社会に出れば「仕方のないこと」ではすまなくなります。しかし、例え今までの自分が「優秀」ではなかったとしても、社会にとっての「優秀」になれる可能性は大いにあります。
また、企業としてはそういった「優秀」な人を獲得したい、というのが本音ではないでしょうか。

「優秀」という言葉に表面的な部分だけ、今の自分の位置から見える部分だけ見ずにどのような環境で何を求められているのか、俯瞰的な目で見ることで誰もが「優秀」になれる素質を持っているのだと私は思います。

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