【2022年最新情報】障がい者の法定雇用率の現状と制度について徹底解説

日本では「法定雇用率」と呼ばれる制度を作ることで、障がい者の方も一般労働者と同様の雇用機会が得られるよう取り組んでいます。

今回は障がい者の雇用率に関わる制度や雇用率の現状などについて詳しく調査しまとめました。

なお、障がい者雇用率の現状については令和4年(2022年)の最新情報を掲載しています。

日本の障がい者雇用率について気になっている方は参考にしてみてください。

障がい者雇用率制度とは

障がい者雇用率制度とは、国や民間企業、地方公共団体が制度によって定められた人数以上の障がい者を雇用するよう義務付ける制度です。

この法定雇用率は実は歴史が古く、1960年代に制定された「身体障害者雇用促進法」の中で初めて努力義務として登場しています。

その後1976年に法改正が行われたことで「法定義務」として障がい者の雇用率が1.5%と定められました。

以降、法定雇用率は度重なる法改正によって徐々に引き上げられており、1988年に1.6%、1998年に1.8%、2013年に2.0%、2018年に2.2%、2021年から現在まで2.3%と推移しています。

現在の障がい者雇用率

直近では2021年3月の法改正によって障がい者の法定雇用率が引き上げられ、以下のように定められています。

  1. 民間企業:2.3%
  2. 国や地方公共団体など:2.6%
  3. 都道府県などの教育委員会:2.5%

このように、障がい者雇用率は事業主の区分ごとに分けられており、民間企業の場合、43.5人以上の従業員を雇用している事業主は障がい者を1人以上雇用しなければなりません。

今後も法定雇用率は段階的に引き上げられる予定です。

障がい者雇用率の計算方法

現状、障がい者雇用率は以下の計算式によって算出されます。

(常用労働者数+失業者数)÷(対象障がい者である労働者の数+失業している対象障がい者の数)

上記の計算に割り当てる項目は社会の変化に対応するため柔軟に反映させていかなければなりません。

そのため、障がい者雇用率は5年ごとに見直しが行われます。

令和4年度最新の障がい者雇用の現状

出典:厚生労働省「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」

障がい者雇用率を適用する義務を持つ企業は、毎年ハローワークへ6月1日時点の障がい者雇用の状況を報告しなければなりません。

この報告内容を以て、厚生労働省では同年12月に障がい者雇用の状況をまとめて発表を行います。

厚生労働省が令和4年12月(2022年12月)に発表した「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」によると、令和4年度の民間企業の雇用障がい者数、実雇用率はともに過去最高を更新したとのことです。

雇用障害者数は61万3,958人、対前年差でいうと1万6,172人増加、対前年比は2.7%増加しています。

また、国や都道府県、市町村、教育委員会などの公的機関についても雇用障がい者数、実雇用率ともに前年度を上回り、独立行政法人の雇用障がい者数、実雇用率ともに前年を上回る前向きな結果となっています。

企業規模別の法定雇用率未達成割合からみる課題

区分 法定雇用率未達成企業の数 障がい者の数が0人である企業数
(割合)
規模合計 55,884 32,342(58.1%)
43.5-100人未満 30,142 27,710(91.9%)
100-300人未満 17,772 4,597(25.9%)
300-500人未満 3,933 29(0.7%)
500-1,000人未満 2,521 5(0.2%)
1,000人以上 1,316 1(0.1%)

法定雇用率が未達成となっている企業の数とその割合を企業規模別に見てみると、とても分かりやすい結果が出ています。

法定雇用率未達成企業55,884社のうち、43.5人~100人未満の小規模企業の割合が91.9%を占めており、企業規模が大きくなるほど未達成の割合は少なくなっていますね。

大企業であるほど障がい者雇用に積極的であるという話は聞いたことがありますが、実際の数値からも、企業規模が小さいほど障がい者雇用状況が厳しいという現状が見て取れます。

雇用対象となる障がい者のカウント方法

障がい者雇用率の対象となる障がい者の方は、身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者です。

また、障がい者雇用率を算出する際の「障がいがある人」をカウントするルールは以下のように定められています。

  1. 原則として常時雇用労働者は1人分、短時間労働者は0.5人分としてカウントする。
  2. 重度身体障がい者・重度知的障がい者は1人を2人分としてカウントする。
    重度身体障がい者・重度知的障がい者の「短時間労働者」は1人分としてカウントする。
  3. 短時間労働者の精神障がい者に関しては、下記の要件をどちらも満たす場合は1人分、満たさない場合は0.5人分としてカウントする。
    <要件>
    ・新規雇い入れから3年以内、または精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内の場合

    ・2023年3月31日までに雇い入れられ、精神障害者保険福祉手帳を取得した場合

障がいを持っている方の場合、欠勤や遅刻などで実労働時間が所定労働時間よりも少ないケースもあるでしょう。

実労働時間が所定労働時間を下回る月が7か月以上ある場合は、実労働時間を参考に算出します。

障がいの種類や程度を判断する基準

障がい者雇用率の対象となる障がいの種類や、程度を判断する基準は以下の通りです。

  1. 身体障がい者
    身体障害者福祉法による「身体障害者手帳」を所持している方。
    障がいの程度によって等級が1~7級と区分されている。
  2. 知的障がい者
    都道府県知事が発行する「療育手帳」を所持している方。
    障がいの程度によって、A:「最重度」「重度」、B:「中度」、C:「軽度」に区分されている。
  3. 精神障がい者
    精神保健福祉法による「精神障害者保険福祉手帳」を所持している方。
    障がいの程度によって等級が1~3級と区分されている。

また、身体障害者手帳の等級が1級・2級の方は「重度身体障がい者」、療育手帳でAに区分される方は「重度知的障がい者」に該当します。

精神障がい者の場合は、障がいの程度によって障がい者雇用率のカウント方法が変わることはありません。

障がいの種類や程度を判断する際の注意点

障がいを持っている方を採用し法定雇用率に含める場合、障がい者手帳に基づいた客観的な判断を下す必要があります。

しかし障がいの程度や状況を確認する際には、障がいを持つ相手のプライバシーに十分な配慮を払うことも大切です。

厚生労働省では、障がい者の意に反した制度の適用を防止するために「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」が策定されています。

  1. 採用段階で障がい者の把握や確認を行う場合は、「利用目的等の事項(ガイドライン参照)」を明示したうえで、本人の同意を得て、その利用目的に必要な情報を取得すること
  2. 採用後に障がい者の把握や確認を行う場合は、メールの送信や書類の配布など画一的な手段で呼びかけることを原則とする

ガイドラインの基本的なポイントは上記の通りですが、その他にも細かな配慮に関わるポイントが分かりやすく記載されていますので、詳細は厚生労働省による上記パンフレットをご覧になってみてください。

障がい者雇用率の現状と制度のまとめ

法定雇用率の制度では、区分ごとに定められた人数以上の障がい者を雇用することが義務付けられています。

また、法定雇用率の雇用障がい者数に達していない場合は、1人の不足ごとに障がい者雇用納付金(常用労働者数によって4万円~5万円)を納める必要があり、支払ったからといって雇用義務が消えるわけではありません。

一方で法定雇用障がい者数を超えて雇用している場合には報酬金制度が設けられています。

まずは自社に必要な法定雇用者数を把握することから、徐々に取り組んでみるのがおすすめです。

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