障がい者雇用ってどういう働き方?一般就労との違いやメリットデメリット

障がい者の方が働くには「一般就労」のほかにも「障がい者雇用枠」で働く方法もあり、どちらを選ぶべきか、両者の違いは何なのかと悩まれている方もいるのではないでしょうか。

今回は一般就労と障がい者雇用の違いや、両者を選ぶことによるメリットデメリット、障がい者の方が働くために利用できる社会制度などについて詳しくご紹介します。

これから働きたいとお考えの方はぜひ参考にしてみてくださいね。

障がい者雇用と一般就労

まずは「障がい者雇用」についてですが、日本には「障害者の雇用の促進等に関する法律(通称:障害者雇用促進法)」と呼ばれる法律が存在しており、企業は障がいがあることを理由に募集や採用条件から外したり、不利な条件を提示したしすることが禁止されています。

そのほかにも民間企業や国、地方公共団体などの事業主に対し、従業員のうち一定の割合以上の障がい者を雇用することを義務付ける「法定雇用率」と呼ばれる制度などもあります。

このように、日本では障がいを持つ方が社会で自立できるよう様々な政策を打ち出しており、それらに協力するような形で企業や事業主は「障がい者雇用枠」を設けているのです。

近年では障がい者雇用に積極的な企業も増えてきており、障がいを持っている場合でも求人は探しやすくなっています。

次の項目より、一般就労と障がい者雇用枠の違いについて考えてみましょう。

一般就労とは?メリットデメリット

一般就労は、障がいを持っていない方と全く同じ条件で働くことを指します。

障がい者手帳の有無に関わらず求人に応募することができ、障がいについて会社へ公表するかどうかは本人の自由です。

  • 一般就労のメリット

メリットは障がいを持っていない方と同じ条件で働くため、障がい者雇用よりも比較的高い給与であることが多く、職種の選択肢も幅広いことが挙げられます。

  • 一般就労のデメリット

冒頭でもお伝えしたように、法律によって「法定雇用率」が定められているものの、中には障がいを持っている方が働くことをあまり考慮していない会社もあります。

また、一般就労枠は障がい者の雇用を前提としているわけではありません。

そのため、場合によっては十分な理解や配慮が得られない可能性も考えられる点が大きなデメリットと言えるでしょう。

障がい者雇用枠とは?メリットデメリット

障がい者手帳を持っている方が応募することができ、企業と障がい者本人が合意の上で働く雇用枠です。

障がいを持っている方が働くことを前提として労働条件を決定しており、障がいを持った方を受け入れる準備がある程度できているため、一般就労に比べて働きやすい環境と言えます。

  • 障がい者雇用枠のメリット

企業は障がいに対して理解があるため、障がいによる就労上の悩みや困りごとを打ち明けやすい環境にあります。

労働条件や配慮の内容は本人との話し合いによって総合的な判断から決定するケースが多く、無理な働き方にならないよう配慮してくれる点が大きなメリットです。

  • 障がい者雇用枠のデメリット

障がいを持っている方が、無理なく安心して長く働き続けるためには会社の理解や配慮が欠かせませんが、その分コストや負担もかかります。

そのため、障がい者雇用枠での給与は一般就労と比べて低い傾向にある点がデメリットです。

定着率から見る一般就労と障がい者雇用枠の違い

出典:厚生労働省「障がい者雇用の促進について 関係資料」

一般就労と障がい者雇用枠の違いについては、大体イメージができたでしょうか。

実際に一般就労と障がい者雇用枠で働く障がい者の方では、就職後の定着率も大きく異なります。

厚生労働省が令和2年に発表した内容によると、一般求人で働く障がい者の1年後の職場定着率は30.8%、会社へ障がいを持っていることを開示した場合でも49.9%と、半数近くの方が1年後には離職してしまっているのです。

一方で、障がい者求人(障がい者雇用枠)で働く障がい者の1年後の職場定着率は、70.4%と比較的高い水準を保っていることが分かります。

出典:厚生労働省「障がい者雇用の促進について 関係資料」

さらに障がい種別の定着率を見てみると、どの障がいを持っていても障がい者雇用枠による働き方のほうが定着率が高い結果となっています。

障がい者雇用枠では、一般求人に比べて企業の理解や配慮が手厚いことももちろんですが、各特性や障がいの程度に合わせた働き方が叶えやすいことなども大きく影響しているでしょう。

障がい者は一般就労と障がい者雇用枠どちらで働くべき?

「一般就労と障がい者雇用どちらが良いのか」ということについては、もちろんご本人の意思を尊重すべきです。

症状や体調が悪化しない程度に働けそうであるならば、一般就労で働くというのも良いかもしれません。

一方で、前の項目でご紹介した定着率についての調査結果を見ても分かるように、予め障がい者雇用枠で働いた方が、安心して働き続けられる環境は整っています。

心配な方はハローワークの障がい者専門窓口を利用したり、かかりつけ医に相談するなどして、客観的なアドバイスをもらうのもおすすめです。

障がい者の方が就労する際に利用できる社会制度

「自分に合った求人を探すにはどうしたら良いんだろう」「自分に必要な配慮がよく分からない」など、働くにあたって疑問に思われることもたくさんあるかと思います。

この項目では、障がいを持っている方が就労する際に利用できる社会制度について、いくつかご紹介します。

ハローワーク

障がい者の方が働きたいと思った場合、一般就労・障がい者雇用に関わらずまず相談をしておきたいのが「ハローワーク」です。

ハローワークには障がい者専門窓口が設置されており、専門資格を持った相談員も配置されています。

また、企業や各支援機関との連携も行う中核的な存在であるため、働くことについて相談したい場合に非常に役立つ機関です。

障がい者の就職・転職エージェント

「就職・転職エージェント」とは、求職者が無料で利用できる求人紹介サービスで、障がい者雇用に特化したエージェントサービスも存在します。

ご本人の状況のヒアリングから一人ひとりに合った求人を紹介してくれるだけでなく、履歴書の記入や面接対策、企業との交渉から就職・転職後の定着まで手厚くサポートしてくれるため、働くことに対して不安のある方でも安心です。

高収入な求人も多く用意されているため、ハローワークと併用をするのも良いかもしれませんね。

障がい者におすすめの転職エージェント9選!難しい手続きもお任せできる無料サービスを活用しよう

障がい者職業センター

就職のための訓練や講習が受けられる福祉施設です。

リハビリテーションや職業の適正検査なども行ってくれるため、能力や技術面、ビジネスマナーなどについて心配な方におすすめです。

以下の記事でも就労支援について詳しくご紹介していますので、気になる方は併せてご覧になってみてくださいね。

障害者支援サービスの「就労支援」ってどういうもの?内容や種類について解説

障がい者雇用と一般就労のまとめ

一般就労と障がい者雇用では、働き方だけでなく定着率についても大きな違いがあることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

また、障がい者雇用枠では「トライアル雇用」といって一定期間就労し、双方合意の上で雇用契約が結べる制度を用意している会社や、福祉施設を設置しているような会社などもあり、長く安心して働き続けるための工夫を凝らしているところも多く存在します。

現在では障がい者雇用に積極的な会社が増えていますので、まずは一度お近くのハローワークなどの機関に相談していただくのがおすすめです。

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