障がい者雇用の賃金が安い理由とは?障がい種別平均賃金や賃金設定の方法について

障がい者雇用を行う際に担当者が頭を悩ませる項目が、賃金設定を含めた待遇面ではないでしょうか。

障がい者雇用にも、一般雇用と同じように賃金や待遇設定の基準があります。

今回は、障がい者雇用における賃金の設定方法や障がい種別の平均賃金、障がい者雇用に役立つ助成金について詳しくご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

障がい者雇用の賃金を決める要素とは

1.雇用形態 正社員、有期雇用、パート、アルバイトなど
2.労働条件 労働時間、業務内容、障がいに対する配慮の提供内容など
3.最低賃金 都道府県別最低賃金を遵守する必要がある

一般雇用で賃金を決定する際は主に上記3つの項目を総合的に見て決定しますが、障がい者雇用においても同様です。

また、すでに障がいを持つ従業員がいる場合には当該従業員の賃金や労働状況も踏まえて考える必要があるほか、上記に加えて次のような項目も勘案する必要があります。

  1. 他企業の障がい者雇用における賃金との均衡
  2. 障がい者年金など従業員のその他の収入
  3. 従業員が生計を立てられるか
    など

あくまでも参考的要素ではありますが、一般的には必要に応じて評価制度の整備や短期、中期、長期での生産性の算出なども行います。

障がい者雇用の賃金が安い理由

次の項目よりご紹介しますが、やはり一般雇用の賃金と比較をすれば障がい者雇用の賃金は安い傾向にあります。

障がいを持つ従業員が一般雇用と全く同じ条件で働く場合を除き、障がい者雇用では労働時間や業務内容、環境設備などにおいて何かしらの配慮を必要とするケースが多いためです。

とくに労働時間を短くすることや、配慮した結果簡易的な業務内容となることなどが影響していると考えられます。

賃金に影響する待遇と配慮は「天秤関係」にあると言われており、障がいを持つ従業員一人ひとりに合わせたバランスで賃金を設定する必要があり、従業員本人からの理解も得たほうが良いでしょう。

【職種・障がい別】障がい者雇用の平均賃金

ここからは身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者、発達障がい者の平均賃金と仕事内容を見ていきましょう。

次の情報については厚生労働省が令和元年に発表した「平成30年度障害者雇用実態調査の結果」を参考にしています。

なお、同年度(平成30年度)の一般雇用における平均賃金は441万円(参考:国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査結果について」より)との調査結果が出ていますので、こちらも参考にしてみてください。

身体障がい者の仕事内容・平均賃金

出典:厚生労働省「平成30年度障害者雇用実態調査の結果

身体障がいを持っている方が最も従事することが多い内容は「事務的作業」で、全体の32,7%となっており、次いで「生産工程の職業」が20.4%という調査結果が出ています。

事務的作業はパソコンを使ったもの以外にも、ファイリングや電話対応など従業員に合わせた業務を用意しやすい点が特徴的です。

また、身体障がい者の平均賃金は「215,000円」で、各障がい種別の中では最も多い賃金額となっています。

専門・技術職は賃金が高い傾向にあり、仕事内容としての割合が比較的高いことも影響しているかもしれませんね。

身体障がい者の平均賃金 215,000円
通常(週30時間以上) 248,000円
20時間以上30時間未満 86,000円
20時間未満 67,000円

知的障がい者の仕事内容・平均賃金

出典:厚生労働省「平成30年度障害者雇用実態調査の結果

続いては知的障がい者の方です。仕事内容として最も多いのは「生産工程の職業」で37.8%、次に「サービスの職業」が22.4%と続いています。

また、「販売の職業」や「運搬、清掃、梱包等の職業」についてもやや多い傾向にあるようです。

知的障がい者における平均賃金は117,000円となっています。

知的障がい者の平均賃金 117,000円
通常(週30時間以上) 137,000円
20時間以上30時間未満 82,000円
20時間未満 51,000円

精神障がい者の仕事内容・平均賃金

出典:厚生労働省「平成30年度障害者雇用実態調査の結果

精神障がいを持っている方の仕事内容や平均賃金も見てみましょう。

仕事内容の割合は「サービスの職業」が30.6%、「事務的職業」が25%、次いで「販売の職業」が19.2%と続いています。

平均賃金は125,000円ですが、週30時間以上の通常勤務となると189,000円と大幅に上がっていることが分かりますね。

なお、精神障がい者の方においては等級別の割合も調査結果として出ており、2級が全体の46.9%、3級が全体の36.3%です。

精神障がいを持っている方を雇用する際は、等級とその内容も予め理解しておくと良いかもしれません。

精神障がい者の平均賃金 125,000円
通常(週30時間以上) 189,000円
20時間以上30時間未満 74,000円
20時間未満 51,000円

発達障がい者の仕事内容・平均賃金

出典:厚生労働省「平成30年度障害者雇用実態調査の結果

最後に発達障がいを持つ方の仕事内容と平均賃金をご紹介します。

仕事内容としては「販売の職業」が39.1%、次いで「事務的作業」が29.2%、「専門的、技術的職業」が12%です。

平均賃金は127,000円となっています。

こちらも程度・疾病別の割合が出されており、3級が48.7%と多い割合を占め、76%もの方が自閉症やアスペルガー症候群などの広汎性発達障害を持っている方です。

発達障がい者の平均賃金 127,000円
通常(週30時間以上) 164,000円
20時間以上30時間未満 76,000円
20時間未満 48,000円

障がい者雇用の賃金負担に役立つ助成金

障がい者雇用においては、一般雇用よりもコストや負担が大きい傾向にあります。

そのような場合に役立つのが、障がい者雇用に役立つ各助成金です。

この項目では、障がい者雇用に役立つ助成金について簡単にご紹介します。

障がい者作業施設設置等助成金

障がい者の新規雇用や継続雇用を目的として、障がいの特性による就労上の課題を克服しようとする事業主をサポートする助成金です。

具体的には作業を容易に行えるように配慮された施設などの設置や整備に対して助成されます。

障害者福祉施設設置等助成金

障がい者の継続雇用を目的として設置された福利厚生施設の整備や、施設そのものの設置を行う事業主をサポートする助成金です。

当該事業主が加入する事業主団体も対象となります。

障害者介助等助成金

重度の身体障がい者などの新規雇用や継続雇用を目的とした助成金です。

障がいの種類や、程度に応じた適切な雇用管理を行うために、介助者の配置など特別な措置を行う場合に利用できます。

重度障害者等通勤対策助成金

通勤が特に困難な、重度の身体障がいなどを持っている方の新規雇用、継続雇用を目的とした助成金です。

従業員が通いやすくなるよう措置を行う事業主に対して助成されますが、当該事業主を構成員とする事業主団体も対象となります。

重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金

重度の身体障がいなどを持っている方を多数継続雇用し、事業施設などの整備を行う事業主をサポートする助成金です。

障がい者雇用の賃金が安い理由や平均賃金のまとめ

記事の中でもお伝えした通り、障がい者を雇用する際は待遇と配慮のバランスを考慮した賃金設定が重要です。

障がい者雇用を行うにはコストや負担がかかりますが、それらをサポートする助成金も多数ありますので、お困りの方はぜひ積極的に活用していきましょう。

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