文化庁などによる助成金や補助金を紹介|芸術や音楽関係者必見の支援事業について解説

新型コロナウィルス感染症の影響は、ライブハウスや劇場での公演、映画館や博物館の運営など、芸術分野にまで及んでいます。

文化庁やそのほかの団体によって、感染拡大防止の取り組みや、オンラインでの販売促進に対する支援が行われているのはご存じでしょうか。

今回は文化庁を含め、音楽や演劇、観光などにおける芸術分野での支援事業について詳しくご紹介します。

施設や活動の運営維持について悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。

文化庁による助成の目的|伝統や芸術文化に関する支援

画像出典:文化庁

これまで文化庁では、文化財保護を目的とした支援事業を数多く行ってきました。

たとえば文化遺産の活用や観光拠点の整備、国宝や重要文化財の修理に必要な資材採取の人材育成などです。

2021年中に行われていた文化庁による支援事業の多くは、すでに申請受付を終了していますが、新型コロナウィルス感染症の状況を考慮し、2022年1月の事業実施分まで受け付けているものもあります。

特に観客の動員が収益に直結するような業種では、活動範囲が狭まっているのが現状です。運営の維持に悩まされている方は、ぜひ支援事業の活用を前向きに検討してみてください。

申請できる助成金・支援制度

2021年9月以降も申請が可能な事業について、以下の2種類の詳細を紹介します。

  • 文化施設の感染拡大予防・活動支援環境整備事業
  • コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金

どちらも感染症の拡大に伴って営業縮小せざるを得ない業種への手助けとなりますので、うまく活用して運営の維持や、活動の拡大を目指しましょう。

文化施設の感染拡大予防・活動支援環境整備事業(補助金)

文化庁が設置した「文化施設の感染拡大予防・活動支援環境整備事業」は、2021年9月17日(金)より第3回目の募集を開始しました。

文化ホールやライブハウス、映画館や博物館などの芸術や文化に関する施設に対して、感染拡大防止の取り組みに関わる費用の一部を補助するというものです。

2022年1月31日(月)までの事業が対象となっているため、まだまだ活動の余地はありそうですね。

それでは対象者や申請方法などについて詳しくお伝えします。

対象者

対象となる事業者は以下の通りです。

  • 劇場
  • 文化ホール
  • 音楽堂
  • 博物館
  • ライブハウス
  • 映画館

これらの施設の設置者、もしくは管理者が対象となります。
「貸館」のみの施設は対象外です。

対象となる取り組み

  • 感染対策事業

消耗品や赤外線カメラなど、衛生面での対策

  • 環境整備事業

オンラインチケットやキャッシュレス決済の導入など、接触を回避するための取り組みや施設・設備の抗菌などの対策

  • 空調設備の増設や改修

トイレなどの抗菌改修や新たな設備増設に関する工事

  • 配信等環境整備事業

映像や音声配信に関わる機材導入、システム環境やプラットフォームの構築

これらの取り組みに関する経費の一部が、お金によって補助されます。

申請期間・申請方法

第三回の公募は2021年9月17日(金)に申請受付を開始し、2021年10月15日(金)必着となります。
ただし、要望額が予算額である50億円に達した時点で受付は終了してしまうため、早めに準備をしましょう。

申請方法は電子メールのみでの受付です。管理する施設に合わせて各担当局へ申し込みを行います。

【劇場・音楽堂など】

株式会社ステージ 劇場・音楽堂等感染拡大予防等事業事務局

【博物館】

公益財団法人 日本博物館協会

支給額(補助率1/2)

支給額の上限は各事業内容によって決められています。

感染対策 400万円
清掃などの環境整備 300万円
配信機材などの確保 400万円
空調設備の改修や増設 2,000万円
配信などの環境整備 1億円

文化庁ホームページはこちら

コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金

特定非営利活動法人映像産業振興機構補助金事業部が担当する支援制度です。

国内外での新型コロナウィルス感染症の影響により、日本におけるコンテンツのグローバル展開の機会が減っていることから、海外向けのデジタル配信などを促進し、海外展開の拡大、市場の獲得や訪日外国人の増加を目的としています。

J-LODlive2のホームページで発表されている内容によると、2021年9月3日時点で予算の消化率は46.6%です。

2021年9月3日時点では半分以上の予算が残っているので、しっかりとした具体的な事業計画があれば、採択も難しくはないかもしれません。

対象者

公演主催者が国内での公演を実施し、その映像を活かしたプロモーション映像を海外へ配信する事業者が対象です。

「公演の主催者」とは、以下の要項に当てはまる事業者のことを指します。

  • 公演に関する主要な費用を負担している法人
  • 新型コロナウィルス感染症の影響の影響で2020年2月1日から2022年1月31日までに予定していた公演が延期または中止となってしまった主催者

また、コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金における法人とは、日本の法に基づき設立された非営利法人を含む法人と、地方自治法によって定められた地方公共団体のことです。

対象経費

対象となる経費は大きく分けて2種類あります。

  1. 公演の実施に関わる費用
  2. 「1」で実施した公演の映像を活用し海外へプロモーションを行うための費用

「1」の国内での公演を実施するための費用には、制作に関わる費用や出演料も含まれており、「2」のプロモーションを行うための費用では、映像制作費用や広告宣伝費などが対象です。

ただし、過去に制作した映像を利用したものは対象とはなりません。

そのほか、コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金へ申請をするための書面作成の代行費用についても経費として申請できます。

申請期間・申請方法

第12回公募の締め切りは、2021年10月8日(金)です。その後2週間後の金曜日までに採否の連絡があります。

申請をするには「J-LODlive2」での事業登録が必要です。事業登録後、所定の様式で申請書へ入力し、「J-LODlive2」の専用システムで申請を行います。

支給額(補助率1/2)

支給額の上限は1件あたり3,000万円が上限となっており、下限額はありません。

原則として交付決定後の事業に対する経費が対象となります。交付決定前に事業を開始してしまうと、本来受け取れる経費も受け取れなくなってしまうため、注意しましょう。

J-LODlive2のホームページはこちら

支援事業の申請に関する注意点

異なる管轄での支援事業ではありますが、注意点は同じです。

一度申請に通り支援金が支給されても、後日対象外の経費と判断された場合には費用の返還をしなければなりません。

また、事業を実施した後には実績報告書や効果測定の書類が必要です。
採択されて終わりではなく、計画した事業を遂行させる志が大切ともいえるでしょう。

まとめ

今回は芸術や文化の事業に関わる費用を支援してくれる事業についてご紹介しました。

新型コロナウィルス感染症によって、公演の中止や延期、施設の運営に悩まされる事業者は未だ多く、やむを得ず閉業してしまう施設もあります。

事業の遂行には少なからずエネルギーが必要ですが、支給額が大きいのはメリットともいえますよね。

ご紹介した支援事業の申請期限は10月です。この機会にぜひ、支援金の活用を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

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