社会経済が変化していく中で、どの時期においても中小企業や小規模事業者、個人事業主など、経営維持や資金繰りに悩まされる事業主は少なからず存在しています。
2021年も後半に差し掛かりましたが、申請受付中の補助金が多数あるのをご存じでしょうか。
今回は、多数ある補助金の中から5つに絞って支援事業をご紹介します。それぞれの活用事例もありますので、ぜひ参考にしてみてください。
2021年10月以降も申請可能な補助金はある?
結論として、2021年10月以降も申請できる補助金はたくさんあります。
日本政府の公式ホームページでもある「ミラサポplus」では、中小企業や小規模事業者向けの公的支援制度を集約しており、申請受付中の補助金に絞って検索をすると、実に200件以上の補助金がヒットするのです。
特に2021年度の補助金はポストコロナに対応するための設備投資やIT導入、販路開拓について支援する制度が充実しています。
【活用事例有り】中小企業が申請できる補助金一覧
早速、中小企業向けの補助金について見ていきましょう。今回は5つの補助金についてご紹介します。
- ものづくり補助金
- 持続化補助金
- IT導入補助金
- 事業継承、引継ぎ補助金
- 事業再構築補助金
要点と活用事例についてまとめていますので、参考にしてみてくださいね。
なお、以下の記事は「創業時」に活用できる補助金や助成金を一覧としてまとめたものです。雇用に関する支援事業もご紹介していますので、あわせて参考にしてみてはいかがでしょうか。
ものづくり補助金
ものづくり補助金では「一般型」と「グローバル展開型」に分けられ、2021年11月11日(木)まで申請を受け付けています。一般型は最大1000万円、グローバル展開型は最大3000万円が支給上限です。
- 新しい生産ラインの導入
- 新商品の開発
- 新サービス導入に向けた知財の取得
- 海外事業の展開や強化
など
上記のような新しい事業を積極的に支援する補助金となっており、過去に交付決定を受けた事業主を減点し、新たな申請者を優遇するなど、制度の見直しも随時行われています。
また、新型コロナウィルス感染症に対応するための事業についても「低感染リスク型ビジネス枠」での申請が可能です。
ものづくり補助金の活用事例
- 服飾デザイナー
デザインソフトウェアを導入し、55日間かかっていた作業が16日間での作業完了が可能に。
3Dのイラストツールを活用することで、デザインのイメージや修正も容易になり、販路開拓や業務の効率化へ繋がった事例です。
- 食品製造業
ブランド食材を利用したお弁当を販売するにあたり、品質の維持と仕入れコストが課題となっていた企業。
かまど炊きに近い炊飯が可能となる大型の炊飯システムを導入し、品質の向上と生産コストの削減を実現させた事例です。
持続化補助金
最大50万円の補助が受けられる支援制度で、販路開拓や生産性の向上のために必要な経費の一部を支援するものです。
一般型と低感染リスク型に分けられ、一般型は2021年10月1日(金)、低感染リスク型は2021年11月10日(水)が申請期限となっています。
ものづくり補助金と似ていますが、支援額が大きく異なる点と商工会議所によるサポートを受けながら事業計画書を作成していくのが特徴です。
持続化補助金の活用事例
- 飲食店
視覚的に楽しめる小さな庭園を増築したほか、ホームページの開設、メニューのリニューアルや開発によって新規客を1日あたり5名増加させることに成功。
プロのデザイナーやカメラマン、中小企業診断士のサポートなどを受けて、客単価や売上向上を実現した事例です。
- 宿泊業
従業員4名の小規模な宿泊施設。ペットの同伴を可能にすべく、防臭設備の導入や床材の入れ替えを実施しています。
トラベルサイトなどでのPRもあわせて行ったことで、約20%の売上増加に繋げられた事例です。
IT導入補助金
IT導入補助金は、事業の課題にあわせたパッケージソフトウェアやツール、クラウドソフトの導入に関する経費について支援を行うものです。
補助額は最大で450万円、申請期限は直近で2021年9月30日(木)となっていますが、それ以降も11月中の締め切りを予定とした公募も発表されています。
デジタルソフトウェア等の導入によって、社内の情報共有の強化や顧客管理、業務の自動・効率化が可能です。
IT導入補助金の活用事例
- 製造業
受発注や売上などの転記ミスが発生していた企業。IT導入補助金を利用して「RPA(自動化)ツール」を導入しました。
その結果、売上管理に関する業務時間を1日あたり15分短縮することに成功しています。自動化によってミスを削減できるだけでなく、業務時間まで短縮できるのは補助金活用のよい例ですね。
- 医療
医療分野では、電子カルテの導入によって業務の精度向上やスタッフ間の情報共有がスムーズに。
患者の増加にも対応可能となり、結果として売上の向上へと繋がった事例です。
事業承継・引継ぎ補助金
事業の再編や統合を契機に、新たな事業へ挑戦する事業者を対象として金銭的な支援を行う制度です。
具体的には事業を引き継ぐための売り手や買い手を探すために必要な業務委託資金などの支援となります。
事業承継・引継ぎ補助金の申請枠は以下の4種類です。
- 経営革新
①経営者交代型
②M&A型
- 専門家活用
③買い手支援型
④売り手支援型
枠によって要件や上限額が異なるため、詳しくは「経営革新の判定フロー」および「専門家活用の概要」をご覧ください。
事業承継・引継ぎ補助金の活用事例
- 卸売業
建設機械の販売や修理を行っていた企業は、新型コロナウィルス感染症の影響を受けて受注数が減少。
会社および従業員の引き継ぎ先を探すため、補助金をファイナンシャルアドバイザーの業務委託料として活用した事例です。
- サービス業
これまで飲食関連のコンサルティングを行っていた事業者ですが、新型コロナウィルス感染症の影響を受け、契約が停止されてしまうということがありました。
将来を見据えて飲食店経営への進出を目指し、経営資源を引き継ぐために補助金が活用されています。
事業再構築補助金
新型コロナウィルス感染症の影響が長期化していることを受け、中小企業の業態転換や事業の拡大・成長、中堅企業や大企業へと成長を目指すための取り組みを支援する制度です。
枠によっては最大1億円の補助金が支給されるため、大規模な事業の再構築に役立てられます。
最新の公募であった第3回は2021年9月21日(火)で申請が締め切られていますが、第4回の公募も予定されているようですので、公式ページをチェックしておきましょう。
また、以下の記事では事業再構築補助金の概要や申請方法などについて詳しく解説していますので、あわせて確認してみてくださいね。
事業再構築補助金の活用事例
- 食品製造業
新型コロナウィルス感染症の影響で、売上減少に悩まされていた事業者による新分野展開のため、補助金が活用された事例です。
高品質な食品をレトルト加工し、自身の事業拡大とともに地域活性化への貢献を目指す取り組みを行っています。
- 製造業
車の部品を製造していた事業者は、新分野展開として「ハイブリッド車向け」の部品製造を開始しました。
ハイブリッド車の部品を製造するための設備投資資金として補助金が活用されています。
まとめ
今回は中小企業や小規模事業者へ向けた補助金制度について、5つの活用事例とともにご紹介をしました。
補助額が比較的大きい制度が多く、どのように活かすべきかイメージが湧きにくい方もいるのではないでしょうか。
活用事例を見てみると、実にさまざまな業種が新たな挑戦に取り組んでいることがわかりますよね。
経営難に陥りやすい情勢でもありますので、将来に向けた取り組みについて早めに考えておくとよいでしょう。