組織開発に取り入れられるフレームワーク4選|組織開発の手法をわかりやすく解説!

社内の上司、部下との上下関係や部署間の関係性を向上させ、組織としてのパフォーマンスを最大限引き出す組織開発。

長期的な施策が必要で大変ですが、成功すれば企業として大きな成長が見込める有効的な手段です。

今回は組織開発の基本的な手法に加えて、よく取り入れられているフレームワークを4つご紹介します。

専門分野において著名な人物が提唱し、説得力のあるフレームワークが多くありますので、組織開発のヒントを探している方はぜひ参考にしてみてください。

組織開発におけるフレームワークとは

フレームワークとはビジネスでよく耳にする言葉ですが、一般的には開発や運用を実施する際に用いる、思想や構造などの枠組みのことを指します。

組織開発には基本的な手法がありますが、それらに加えて様々なフレームワークを取り入れたり、組み合わせたりすることで、より高い効果を発揮できる可能性があるのです。

組織開発は近年注目されている手法ですが、実は1950年代からアメリカで研究がはじまったとされており、フレームワークにおいてもこの頃から実践しフィードバックを重ね完成されたものもあります。

組織開発の基本的な手法

フレームワークを取り入れる前に、組織開発を行うための基本的な手法を確認しておきましょう。

  1. 目的を定める
  2. 現状を把握する
  3. 課題を設定する
  4. 小規模で施策を実施する
  5. 効果検証とフィードバック
  6. 全社内で実施、定着

どれも大事な工程ですが、目的をしっかりと固定し、現状を把握する段階はとくに大切です。

ここで見誤ってしまうと軌道修正が大変になります。時間をかけて自社と向き合う必要があるといえるでしょう。

そして、課題を設定したあとには小規模から施策を実行することも省いてはいけません。

全社内で効果的に実施するためにも、小規模での実施段階で、ある程度施策を完成させる必要があります。

なお、以下の記事では基本的な手法(手順)についてさらに詳しく解説していますので、ご興味のある方はぜひご覧になってみてくださいね。

組織開発に役立つ基本的な手順とは|わかりやすいフレームワークや企業の事例を紹介

組織開発で取り入れられるフレームワーク4選

ここからは、組織開発でよく取り入れられているフレームワークを4つご紹介します。

①7S
②変革の8段階
③タックマンモデル
④ミッション・ビジョン・バリュー

どれも著名な方が提唱しており、有効的な手法として注目されているものばかりですので、ぜひ参考にしてみてください。

①7S

アメリカ合衆国に本社のあるコンサルティング企業「マッキンゼーアンドカンパニー」に所属するウォーターマン氏ピーターズ氏が提唱したフレームワークのひとつです。

7Sは組織構造などに関わる「ハード」と人間に関わる「ソフト」を含めた7つの「S(要素)」から成り立ちます。

  • ハード

1.Strategy…

競争優位性や現在の課題、事業の方向性などの「戦略」

2.Structure…

上司と部下の関係性や各部署などでの指揮担当を分析した「組織の構造」

3.System…

給与体系や情報システム、管理システムなどを含めた「システム」

  • ソフト

4.Shared Value…

社内で共通し浸透した「価値観」

5.Skill…

従業員の「能力」

6.Staff…

単なる人材だけでなく、人事のあり方などを含めた「人材」

7.Style…

経営や社風などの「スタイル」

これらの中で中心核として捉えるべきは「価値観」になります。
すべての「S」を共通の価値観や理念に沿って整えることが、「7S」のフレームワークなのです。

②変革の8段階

リーダーシップやマネジメント、変革の思想家としてビジネス業界では有名なジョン・コッター氏が提唱するフレームワークです。

リーダーシップ・マネジメント・組織変革について研究をし続けたジョン・コッター氏は、以下の8段階の工程に沿って施策を実践することで、戦略的な変革を可能にするとしています。

  1. 危機感を高める
  2. 変革の専門チームを発足させる
  3. 適切なビジョンを掲げる
  4. ビジョンの共有と浸透を徹底させる
  5. 自発的な行動を促す
  6. 短期での成果を実現させるため、計画を策定し実行する
  7. 変革を進める
  8. 変革を定着させる

これらを実践していくにあたって、必ず「つまずき」が発生すると考えられており、つまずきを乗り越えることで施策がブラッシュアップされ、最終的には完成度の高い施策を定着させられるのです。

③タックマンモデル

心理学研究者であるブルース・タックマンが提唱したチームビルディングの手法が「タックマンモデル」です。
4つの期間に分けられた過程を通して、強い組織づくりを行う内容となっています。

  • 第一段階:形成期

チーム結成の初期段階といえます。お互いを知らず、深い議論を行うことは難しい時期です。メンバー間では不安などもありますので、リーダークラスの人物が指揮をとります。

目的や業務への理解を深めたり、メンバー間の交流を深めたりするような取り組みが重要です。

  • 第二段階:混乱期

メンバー間との距離が縮まり、意見やアイデアが活発になっていきます。時には衝突することもあるでしょう。

この段階では質の高い情報とコミュニケーションが重要となります。形成期で行っていたような交流会などではなく、業務上の「対話」ができるような機会を設ける必要性が生じる時期です。

  • 第三段階:統一期

第二段階の混乱期で、メンバー個人の仕事の進め方や人間性への理解が進んでいくと、共通の目的意識や個人の役割に対する自覚が生まれ、チームとしてまとまりはじめます。

この時にリーダーは、メンバー間でよりスムーズなコミュニケーションや理解ができるような機会を設けるとよいかもしれません。

「メンバー間で助け合えるチーム作り」に磨きをかけるようなイメージです。

  • 第四段階:機能期

結束力が強固なものとなり、パフォーマンスの効果が高まる時期です。ここで、組織は成果を出します。

リーダーはこの段階で積極的に指示を行うのではなく、メンバーの自発的な行動を助けるような動きが重要となります。

メンバーは責務に集中し、楽しみながらも疲れを感じる頃でもあるため、リフレッシュできるような機会を設けるとよいでしょう。

  • 散会期

このようにして、タックマンモデルでは長期間のチーム形成を通じて質の高い強い組織を作り上げるのです。

第四段階の機能期を終えると、メンバーは目的達成などに伴ってそれぞれの道を歩みだします。

退職や異動を考えはじめたり、社内で更なる高みを目指す気持ちが芽生えたりと、各々が次の道に向かおうとする時期が「散会期」です。

④ミッション・ビジョン・バリュー

「MVV」と書き表すこともありますが、「ミッション・ビジョン・バリュー」はマネジメント、現代経営学の発明者といわれているピーター・F・ドラッカーが提唱したフレームワークです。

このフレームワークでは、以下の3つを明確化し経営方針とします。

1.ミッション

組織の使命や目的、存在意義です。企業理念に沿ってどのような行動をすべきかを明確にする必要があります。

2.ビジョン

将来像や未来像のことを指します。中長期的にみて、組織が目指すべき姿を明確化させましょう。

3.バリュー

組織の価値を明確にし、組織のメンバーひとりひとりが体現できるような活動が大切です。

組織開発の基本的な手法に加え、ミッション・ビジョン・バリューを取り入れることで、より方向性が統一され、施策が実施しやすくなるかもしれませんね。

まとめ

今回は組織開発に取り入れられるフレームワークを4つご紹介しました。

どれも比較的わかりやすく、組織開発において組み合わせたり実施もしやすい内容なのではないでしょうか。

組織開発は長期的な施策の実施とフィードバックを行い、全社内での実施に向けてブラッシュアップしていくことが大切です。

ぜひ自社にあったフレームワークを取り入れ、強い組織を作り上げていきましょう。

なお、以下の記事では組織開発に役立つ本をご紹介しています。これから組織開発に取り組むという方やすでに取り組んでいるという方は、あわせてご覧になってみてください。

組織開発に役立つ本のおすすめ9選|フレームワークや組織開発の基礎もわかる!

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