障害のある方が通える就労継続支援B型とは?A型との違いや利用料について

就労継続支援B型は、身体障害や精神障害、知的障害、発達障害、難病などを持っている方で、一般企業で働くことが難しい場合に利用できる就労訓練の福祉サービスです。

同じく就労継続支援のA型よりは少ないものの、作業の対価となる工賃をもらいながら無理のない範囲で働くことができます。

今回は就労継続支援B型の概要や工賃、利用料などについて詳しく掘り下げてご紹介します。

なお以下の記事でも就労継続支援についてお話ししていますので、気になる方はご覧になってみてください。

障がい者就労支援施設のA型とB型の違いとは?収入や雇用形態についても解説

障がいのある方が利用できる就労継続支援B型とは

就労継続支援B型とは、障害者総合支援法と呼ばれる法律に基づいて作られた福祉サービスのひとつです。

冒頭でもお伝えした通り各障がいや難病をお持ちの方で、一般企業などで働くことが難しい場合に、簡単な軽作業などを行いながら就労訓練を受けることができます。

就労継続支援B型は「A型」とは違って雇用契約を結ばないため、より障がいの特性や体調などに合わせて無理のないペースで働ける点が大きな特徴です。

また、軽作業を行った対価として工賃がもらえます。

厚生労働省によると、令和2年度時点の就労継続支援B型事業所の数は全国に13,441箇所あるとのことです。(厚生労働省:障がい者の就労支援対策の状況より)

障がいのある方が利用できる就労継続支援B型の対象者

就労継続支援B型の対象者は身体障害、精神障害、知的障害、発達障害障害、難病をお持ちの方で、以下のいずれかに当てはまる方です。

  • 50歳に達している方
  • 障害基礎年金1級を受給している方
  • 就労経験があり、年齢や体力などの面で一般企業での就労が困難となった方
  • 就労移行支援などでのアセスメントによって、就労面における課題を把握している方

なお、就労継続支援「A型」では、特別支援学校などを卒業した直後に入所ができますが、本稿でご紹介する「B型」では卒業直後に入所することはできません。

一度就労経験をされるか、就労移行支援などを利用して就労面における課題のアセスメント(アセスメント=物事の評価)が行われている必要があります。

また、就労継続支援B型は障がい者手帳を持っていなくても利用できる場合がありますので、まずは一度ハローワークや市町村の障がい福祉窓口に相談をしてみてくださいね。

障がいのある方が利用できる就労継続支援B型の利用料

就労継続支援B型の利用料は、世帯の収入状況と事業所に通所する日数によって異なります。

1か月の利用料には各世帯ごとに上限額が定められており、無料で通所されている方や低料金で通所されている方も少なくありません。

区分 世帯の収入状況 利用料の上限額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯(※1) 0円
一般1 市町村民税課税世帯
(所得割16万円(※2)未満)
20歳以上の入所施設利用者、グループホーム利用者を除く(※3)
9,300円
一般2 上記以外 37,200円

※1:3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象
※2:収入が概ね600万円以下の世帯が対象
※3:20歳以上の入所施設利用者、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、負担上限月額が37,200円

各世帯ごとの負担上限額は上記の通りです。

就労継続支援B型には利用期間の制限もないため、たくさん通所をしても上記の金額を超えることがない点は安心ですね。

就労継続支援B型事業所での作業内容

各事業所によって作業内容は異なりますが、例としては以下のような作業があります。

  • 商品の袋詰め
  • 農作業
  • データ入力
  • 簡単な部品加工
  • 刺繍などの手工芸
  • 喫茶店などでの簡単な調理
  • 衣類のクリーニング
    など

また、事業所内で複数の作業を分担し、利用者に適した作業を振り分けたり、時間帯によって作業を切り替えたりすることもあります。

一人一人には向き不向きや得手不得手があるため、ヒアリングを行ったうえで負担の少ない作業から始められますよ。

障がいのある方が利用できる就労継続支援B型の工賃

就労継続支援B型でもらえる工賃は、主に「1日〇円」と決められている場合と、出来高に応じて支払われる場合に分けられます。

また、一般的に就労継続支援B型での工賃は最低賃金を下回るケースがほとんどです。

厚生労働省の発表によると、令和2年度の就労継続支援B型の平均工賃は15,776円、時間給にすると222円となっています。(厚生労働省:令和2年度工賃(賃金)の実績についてより)

しかし近年ではこうした事業所での工賃引き上げの取り組みもなされており、2006年(平成18年)の12,222円、2014年(平成27年)の14,838円といった過去の工賃からみると、年々上昇傾向にはあるようです。

障がいのある方が就労継続支援B型を利用するには?

就労継続支援B型事業所を利用したい場合、まずはお近くの障害福祉窓口やハローワークに相談をしましょう。

また、病院へ通院されている場合は医師に相談をすることで事業所を紹介してくれることもありますよ。

紹介された事業所は、事前に面談や体験利用、見学などを申し込むことが可能です。

心配や不安のある方は面談や見学を申し込み、事業所の雰囲気や作業内容を把握してから利用を考えるのが良いでしょう。

就労継続支援B型事業所を利用する具体的な流れは主に以下のように進みます。

  1. 障害福祉窓口やハローワークなどへ相談する
  2. 必要に応じて事業所の見学や体験を行う
  3. 利用申請
  4. 認定調査
  5. 利用計画案の提出
  6. 受給者証の発行
  7. 事業所の利用開始

相談場所によって内容は前後する可能性がありますが、大まかな流れは上記の通りです。

就労継続支援A型や就労移行支援との違い

「就労支援」には就労継続支援B型のほかにも「就労継続支援A型」や「就労移行支援」などいくつか種類があります。

今回は就労継続支援A型、就労移行支援との違いについてご説明しますが、以下の記事でも就労支援の種類について解説していますので気になる方はご覧になってみてくださいね。

障害者向け就労支援事業所とは?内容や全国の事業所一覧をご紹介

就労継続支援A型

就労継続支援B型との大きな違いとしては「雇用契約を結ぶか結ばないか」という点です。

就労継続支援A型の主な対象者は、現時点では一般就労は難しいものの一定のサポートや支援があれば雇用契約を結んで働き続けることができる方となり、最低賃金以上の給与が保障されています。

厚生労働省によると令和2年度の平均工賃は79,625円とのことです。

一方で「B型」は雇用契約を結ばないので「A型」よりももらえる金額は少なくなりますが、自分のペースを守った働き方ができるでしょう。

B型事業所での作業内容はA型事業所での作業内容と比較すると、より簡単な傾向にあります。

就労移行支援

「就労移行支援」とは一般企業での就労を目指す方を対象として、仕事に必要な知識や能力、スキルを習得する場を提供してくれる学校のような福祉サービスです。

職業訓練から適切な職場探し、就職後の職場定着支援まで手厚いサポートが受けられます。

令和元年度の時点では全国に3090箇所設置されており、33,548名と多くの方が就労移行支援事業所を活用しています。

なお、就労移行支援事業所ではさまざまな能力開発やスキルアップのためのプランが用意されていますが、基本的に賃金や工賃の支払いはありません。

障害のある方が通える就労継続支援B型のまとめ

就労継続支援B型事業所では、一般企業で働くことが難しい障がいや難病をお持ちの方が少しずつ「働く」ことに慣れるようサポートを行ってくれます。

ハローワークや障害福祉窓口、医師への相談によって紹介をしてくれますので、気になる方はまずは窓口に相談をしてみましょう。

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